KANSAS Lyrics

(A Work in Progress)

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このコーナーでは、KANSAS の歌詞を、可能な限り日本語の対訳とともに紹介していきます。

日本語への翻訳については PARADOXX 翻訳チーム(右記参照)による共同作業ですが、可能な解釈のうちのあくまで1つを提示したものに過ぎません。ですので、不明瞭・不正確な部分もあろうかと思いますが、KANSAS の歌詞をより深くご理解いただくための一助となれば幸いです。

そのため、「〜さ」や「〜よ」などの、訳詞においてしばしば「過剰に」使用される終助詞の使用は極力避けています。なぜなら、これら終助詞は文章に情緒的なニュアンスを付与するために、柔軟な解釈を阻害しがちだと考えるからです。

最後に、歌詞とその翻訳を掲載することについては、Kerry Livgren 氏の許可をいただいております。

なお、このページのコンテンツは制作途上です。今後随時更新していきます。

Japanese translations given here are a collaborative work by the PARADOXX Translation Team and are just an example from out of all possible interpretations.

The PARADOXX Translation Team are:

  • Hideo Tsuzuki
  • Mutsumi Tanamura
  • Deborah Tanamura

Permission to use and translate the lyrics was kindly granted by Mr. Kerry Livgren.


StE Album CoverSOMEWHERE TO ELSEWHERE

All lyrics written by Kerry Livgren.


Icarus II

In the darkness I rise, long before the dawn
I was dreaming of home and the life I led
I can hear the sound, of the engines roar
And I crave the embrace of my empty bed
Where I'm safe (there I'm safe)
暗闇で目を覚ます、夜明けはまだ遠い
自分の家とこれまで送ってきた人生の夢を見た
エンジンの唸る音が聞こえる
今は空となっている自分のベッドの感触が恋しい
そこでは僕は安全なのに
But the call is clear, and the task is set
And my enemies wait in the dark sky
Do they fear the same fear,
do they dream like us
Do they long for the day when it's over
And they're safe
でも召集理由は明らか、任務は与えられた
暗い空で敵が待っている
彼らも同じ恐怖を感じるのだろうか、僕らみたいに夢を見るのだろうか
彼らもこれが終わる日を待っているのだろうか
彼らも安心できるその日を
We are cruising above the horizon
Neve knowing if we will return
In a moment we'll loose the destruction
And we'll justify all that we burn
僕らは地平線の上を飛んで行く
帰って来れるのか、それはまったくわからない
もうすぐ僕達は破壊者を解き放つ
そして僕達は自分達が焼き払う全てを正当化する
Here the air is cold, but my thoughts are clear
And so I'm wondering why I must be here
For the evil that can come,
from the heart of a man
Must be answered in kind 'til it disappears
And we're safe
ここの空気は冷たい、しかし頭ははっきりしている
自分はなぜここにいなければいけないのだろうか
人間の心から生じる邪悪には、
邪悪をもって応えなければならない
それが姿を消し
僕達が安心できるまで
Now we're cruising above the horizon
Neve knowing if we will return
In a moment we'll rain down destruction
And we'll justify all that we burn
僕らは地平線の上を飛んで行く
帰って来れるのか、それはまったくわからない
もうすぐ僕達は「破壊の雨」を降らせる
そして僕達は自分達が焼き払う全てを正当化する
Here they come 奴等がやって来た!
Dodging all the tracers, sky is full of lead
I can see the pilots' faces
Safety in our numbers, eagles overhead
We are in the sight of aces
追撃機から身をかわす、空は鉛の銃弾に満ちている
パイロット達の顔まで見える
数の上での安全、頭上には鷲
僕らは空の勇士達の視界に入った
Flak, bursting all around
Friends, going down in flames
高射砲が至る所で炸裂する
炎に包まれて落ちて行く友人達
Now we're hit, it's happened
This is what I feared
Something's telling me my time has come
Though it should be panic, I can feel a peace
Strangely, now I know my purpose...
今度は僕達が撃たれた、ついに起こった
僕が恐れていたことが
何かが僕にその時が来たと告げる
パニックに陥るはずが、心は平安だ
不思議なことに今自分の目的がわかった
Hey boys! Hey, get out while you can
I'll try to take us home
みんな! 今のうちに逃げるんだ
僕が皆を家につれて帰ってやる!
I'm going home... 僕はうちへ帰るんだ・・・

Translators' Note:

この曲の歌詞は第2次大戦中の実話に基づいていて、主人公のモデルとなったのは実在した人物 Frederick W. Castle です。

彼は自らの操縦する機が撃たれたとき、地上にいる仲間の兵士達を巻き添えにするのを避けるため、脱出せずに最後まで機の操縦を続けて、自らを犠牲にした英雄として語り継がれています。

A Tribute To Brigadier General Frederick W. Castle


The Coming Dawn (Thanatopsis)

As the dew turns into frost
There is something that I hope will not be lost
The leaves will change, they'll start to fall
I still wonder if it mattered much at all
露が霜へと変わるように
失われてほしくない何かが私にはある
木の葉はその姿を変え、やがては落ち始める
でもそれはそもそもそんなに重要なことなのだろうか
When my world starts to fade
I can only hope that every choice I made
Will endure, and carry on ... into the coming dawn
私の世界が消え始めるとき
私にできることはただ一つ、これまでの自分の選択が全て
やがて来る夜明けまで、失われずに続いてくれることを願うだけ
The breezes blow, soft clouds drift by
Like some artists' canvas captured in my eye
I am sure, I'm holding fast
I am dying for a lifetime that will last
そよ風が吹き、柔らかな雲が静かに流れて行く
まるで芸術家のキャンバスを見ているようだ
私は確信し、固く信じている
ずっと終わることのない人生を求めて止まない
But when my world, starts to fade
I'm still hoping this foundation that I laid
Will endure, and carry on ... into the coming dawn
しかし、私の世界が消え始めるとき
私はまだ願っている、これまでに築いてきた基礎が
やがて来る夜明けまで、失われず続いてくれることを
We're so close, yet never touch
Can there be a love that changes me this much
I can't see, eyes open wide
Yet I'll never doubt you're standing by my side
私達はすぐそばにいる、しかし触れ合うことはない
これほど自分を変えてくれる愛があるのだろうか
私には見えない、目は広く開いているのに
それでも、あなたが側にいてくれることを疑いはしない
When my world, starts to fade
I can only hope that every choice I made
Will endure, and carry on ... into the coming dawn
私の世界が消え始めるとき
私にできることはただ一つ、これまでの自分の選択が全て
来たるべき夜明けまで、失われずに続いてくれることを願うだけ

Translators' Note:

この曲の副題のギリシャ語 Thanatopsis (= "a study of death") が示すとおり、この曲は「死」について歌っています。しかし、悲壮感は全くありません。死の瞬間、「この世」が終わり、「あの世」へと導かれる瞬間、その瞬間を新たな始まりという意味で、「夜明け(dawn)」という言葉が象徴しているのでしょう。「この世」で培ってきたもの、大切にしてきたものが、「あの世」へも引き継がれることを願う内容の歌詞です。3rd ヴァースで登場する "you" は果たして神のことでしょうか、それとも「この世」で自分を支えてくれた伴侶のことでしょうか? いずれにしても感動的な歌詞です。それを Steve Walsh の見事な歌唱がさらに感動的なものにしています。

これはあくまで個人的な意見ですが、この曲には 2nd アルバム "SONG FOR AMERICA" に収録されている感動的な名曲 Lamplight Symphony に対する続編的な意味合いを感じます。Lamplight Symphony では妻に先立たれ、悲しく虚しい日々を送っている老人のもとへ、死んだ妻が亡霊となって現れ、彼女は「あの世」で彼を待っており、そこで彼らはまた一緒になれるのだ、と伝えます。これによって老人は残された人生を生きる希望を取り戻す、というものです。この曲の 3rd ヴァースは、自分にはまるでその老人が今まさに妻の待つ世界へと旅立つ瞬間の心境でも歌っているかのように聞こえます。

数年前、交通事故で最愛の妻を危うく失いかけた Kerry の悲しみ、そしてその後妻が奇跡的に昏睡状態を脱し、回復したことによる神への深い感謝、それらの経験から彼なりに「死」に対して現在持っているイメージが何らかの形で反映されているに違いないでしょう。


Myriad

Upon the page, symbolic form,
both a miracle and yet the norm
The functions clear,
sum and difference will soon transform
ページ上には、記号化された書式、
奇跡だけでなく規範、その両者がある
関数はクリアされ、合計と差はまもなくその姿を変える
Equations chain, lies in His hand,
Voice authority will dance command
Solution's true, line of measure will divide, expand
方程式の連鎖、それは神の手中にある、
声の権威は踊り、命令する
解法は真、測定線は分割し、拡張する
Myriad, see the numbers as they're counting down
Thousands and thousands
Myriad, form and function to display the sound
Line upon line every melody points the way
巨大な数、
そのカウントダウンされていく様を見よ
何千、何万と
巨大な数、
書式と関数とが音を提示する
重なり合う全てのメロディーが道を指し示す
The cycle turns, like Heaven's gate,
unknown integers predestinate
Calculating all we must explore, and navigate
周期はめぐる、天国の門のごとく、
未知なる整数が運命を定める
我々が探求し、航行すべき全てを計算しながら
Quantities no man can know,
no formula to wield
No pages left to turn,
no choices but to yield
人智の及ばぬ巨大な数量、
いかなる公式の力も及ばない
これ以上めくるページはなく、
委ねる以外に選択肢はない

Translators' Note:

数学の本にでも多く出て来そうな単語が散りばめられ、非常に抽象的な歌詞です。最後の一節と、Kerry が「非常に敬虔な」クリスチャンである事実からも、「神」の持つ力とその神秘、ないしは「因果律」について歌った歌詞と結論付けるのは簡単ですが、どうでしょうか。

また、見方によっては、「数の神秘と音楽」という観点から「シーケンサー」について歌ったものという解釈も出来なくはありません。